EC事業者が今準備すべきこと
Agentic Commerce の仕組みは、AIの提供元やECプラットフォームによってまだ変わり続けています。一方で、どの仕組みでも必要になる準備ははっきりしています。ここでは、仕様の変化に左右されにくい順に、EC事業者が先に整えておくべきことをまとめます。
1. 商品データ
AIが商品を見つけ、比較するための土台です。最も効果が大きく、すぐに始められます。
- 商品ID:色・サイズ違いを含め、販売単位ごとに重複しないIDを振ります。後から変えると、AI側に残っている情報と食い違う原因になります。
- 商品名・説明:「何の商品か」「誰向けか」「素材・サイズ・用途」を文字で書きます。キャッチコピーだけ、画像だけの説明は伝わりません。
- バリエーション:色・サイズ違いを同じ商品のグループとして扱えるよう、グループIDと各バリエーションの属性を分けて持ちます。
- 画像・識別子:商品ごとに正しいメイン画像を用意し、JANコードなどの識別子があれば登録します。
2. 価格と在庫の鮮度
AIが紹介した価格や在庫が実際と違うと、購入の段階で離脱やトラブルにつながります。OpenAI は、全商品を含むフィードを少なくとも毎日、同じファイル名で上書きして送ることを推奨しています。手作業で書き出しているなら、自動で書き出す仕組み(ECプラットフォームの連携機能や定期実行)を用意します。
- フィードから外した商品は、すぐには消えず最大14日間残ります。すぐに表示を止めたい商品は
is_eligible_searchをfalseにして送ります。 - 販売を終えた商品、在庫切れの商品が「在庫あり」で残っていないか
- セール価格の開始・終了がフィードにも反映されるか
- 商品ページ・フィード・カートで価格表示(税込・送料)が一致しているか
3. ポリシーと販売条件
AIは購入前に、返品できるか、送料はいくらかといった条件も確認します。OpenAI の商品フィードにも、返品ポリシー(return_policy)・プライバシーポリシー(seller_privacy_policy)・利用規約(seller_tos)のURLを指定する項目があります。返品・送料・配送日数の条件を、URLで参照できるページにまとめておきます。
4. 販売先の対象条件を確認する
2026年10月時点では、ChatGPT・Google・Microsoft のAIでの商品掲載や購入機能は、米国の顧客向けの販売を条件にしているものが多くあります。OpenAI の商品フィードも、標準のアップロードは米国向けで、ほかの国は OpenAI が個別に認めた場合に限られます。自社が対象になるか、どの形(自分でフィードを登録する/ECプラットフォーム経由)で参加するかを確認します。Shopify の場合は「ShopifyはAgentic Commerceにどう対応する?」で説明しています。
5. 決済・注文の連携は、利用する仕組みが決まってから
AI上で購入まで完結させるには、チェックアウトや決済の連携が必要です。ただし、OpenAI の ACP、Google の UCP など仕様が複数あり、提供形態も変わっています(「ACPとは」参照)。自社開発で先回りするより、利用するECプラットフォームや決済事業者の対応を待って合わせるほうが手戻りが少なくなります。
6. AI経由の流入を計測する
AIから商品ページに来た訪問や購入を分けて見られるようにしておくと、効果を判断しやすくなります。アクセス解析で参照元(例:chatgpt.com)や URL のパラメータを確認し、AI経由の流入をレポートで分けておきます。
進め方の目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今すぐ | 商品データを書き出し、仕様に照らして問題を洗い出す(まず100件程度のサンプルから) |
| 次に | 商品データの修正、価格・在庫の自動更新、ポリシーページの整備 |
| 対象になったら | 販売先への登録、チェックアウト・決済の連携、流入・売上の計測 |
仕様に沿った商品データを用意しても、AIへの掲載や推薦が保証されるわけではありません。各社の参加条件・仕様は更新されるため、最新の公式情報もあわせて確認してください。
商品データの確認から始める
OpenAI 商品フィード検証ツール を使うと、CSV・TSV・JSONL の商品フィードをブラウザ内で検証し、商品ごとの問題と修正方法を日本語で確認できます。必須項目と形式は「商品フィード(Product Feed)とは」を参照してください。